問題分析 政治・経済

「公共、政治・経済」のうち「政治・経済」の内容にあたる大問3~6を分析していく。

いずれも場面設定は、データに基づく議論など探究を意識したものとなっている。

第3問について

問1 労働法や民法に関する問題(知識、標準)。男女同一賃金は男女雇用機会均等法ではなく労働基準法に記されているという問い方は過去のセンタ―試験でも出題されている。

問2 条約の採択年と日本の批准状況に関する問題(知識、やや易)。死刑廃止条約には未批准であることは小学生でも知っている。国際人権規約のB規約は一部留保で批准していることも基本事項であることを考えれば難しい問題ではない。

問3 一票の格差に関する問題(知識、読み取り、標準)。単なる読み取りではなく、小選挙区比例代表制がいつ導入されたかなど、各選択肢ともに知識が必要である。読み取りに見せかけた知識問題といっていい。小選挙区制導入前の方が一票の格差が大きかったことに気付かせる問題となっている。

問4 安保理の各国の拒否権の推移についての問題(知識、読み取り、標準)。問3と同様に、朝鮮戦争の勃発年など各選択肢ともに知識が必要である。

問5 裁判所法の条文から作成したメモを読み取る問題(読み取り、標準)。このような形式の問題は少なく、本番で出題されたら戸惑う生徒も多いと考えられる。授業の中で、条文や判決文の読み取りなどの取り入れていくべきことを示す問題といえる。

問6 人間の安全保障と日本国憲法前文を関連付ける問題(読み取り、標準)。単に条文の語句の理解ではなく、条文のそのものの意味を理解できるように指導していくことの必要性について考えさせられる問題となっている。

第4問

問1 日本の物価上昇率と失業率についての問題(知識、標準)。過去のセンター試験でも同じ形式の問題出ている。

問2 各国の雇用慣行について読み取らせる問題(読み取り、標準)。賃金交渉の集中度の定義が問題文に入っており、定義を理解した上での読み取りが求められる。説明文1~3の条件をもとに国の組み合わせを絞り込む形式で、かつての現代社会のセンター試験でも似た出題形式が出されている。読み取りだけで解ける。

問3 年金制度についての問題(知識、思考力、標準)②物価下落時の年金勝について実質地と名目値について考えさせるようになっている。基本的には知識問題である。

問4 経済学者とその考え方の組み合わせを選ぶ問題(知識、標準)ガルブレイス、マルサス、フリードマン、リカードともに過去のセンター試験で出題されたことがある。

問5 労働市場の現状と用語についての問題(知識、易)。ワーク・ライフ・バランスとワークシェアリングを混同する生徒は少なく正答率90%を超えると予想される。単純すぎる問題。

問6 労働市場における需給曲線のシフトの問題(思考力、標準)。メモに「労働を節約できるような」と書いていることから労働需要曲線が左に動くと判断できるかどうかが決め手である。技術革新と聞くと、財・サービス市場では供給曲線が右に動くのが定番なので、間違う生徒はそれなりにいると考えられる。

第5問

問1 経済の用語に関する知識問題(知識、標準)。外需主導型、大きな政府、産業の空洞化などそれぞれの用語の意味を分かっている必要がある。

問2 産業別の付加価値と就労者数の推移のデータから労働者一人当たりの付加価値(労働生産性)を計算させ考察させる問題(読み取り、思考力、標準)。良問。政治・経済の探究的な学習過程において、教師がサポートしながら、日本の労働生産性について生徒に多面的・多角的に分析させるように促している。指導の参考となる。

問3 インターネット端末の利用についての年齢層別のグラフの読み取り(読み取り、やや易)。単純読み取り。

問4 インターネットに関わる法制度についての問題(知識、標準)。「誤っているものを二つ選ぶ」というあまり見られない形式。「正しいものを二つ選ぶ」とすると、答えに疑義が生じるためにこのような形式にしたか。

問5 コンテンツ・モデレーションという生徒には聞きなれない用語について読み取り、表現の自由と規制について考察させる問題。(読み取り、思考、標準)。現代的な題材を扱っており、生徒に考えさせる良問。授業の題材として参考になる問題。

問6 生徒の発表資料を読み取る問題。(読み取り、標準)。エコー・チェンバー、フィルターバブルなど現代的な問題を扱っている良問。授業の参考になる。

第6問

問1 EUの人口移動に関するグラフと会話文の問題(知識、標準)。東ヨーロッパ諸国がEUに加盟した年号は授業であまり強調されないので、判断に迷う。ギリシャ危機が2009年で、そのころには東欧はEUに加盟していたと推測して2013年ではなく、2004年を選ばせようとする意図は分かる。

問2 問1の資料とEUの最低賃金に関わる計3つの資料を読み取り考察させる問題。(読み取り、標準)問題自体は様々な資料を読み取り考察させる良問。出題の仕方として前の問題の資料を再び読み取らせる珍しい形式である。さらに適当でないものの組み合わせを選ばせるという点でもこれまでにあまり見られない。

問3 イギリスのEU離脱に関する残留支持と離脱支持の理由を問う問題(知識、思考、標準)イギリスがユーロを採用していないこと、EFTAに入っていないことについては知識を問う問題でもある。

問4 シリア難民のギリシャ、オーストリア、ドイツへの庇護申請者数と全体の割合についてのグラフを読み取る問題(読み取り、知識、標準)。アとイは単純読み取りであるが、ウはパグウォッシュ会議が誤りの判断ポイントとなる。

問5 国別の難民認定率と難民認定者数を比較したグラフに関する問題(読み取り、知識、標準)。ユニラテラリズム、マルチカルチュラリズム、ノン・ルフールマンの原則については知識を問う問題となっている。

問6 難民受け入れについて、意見をもとに合意形成させる場面の設定の問題(読み取り、標準)選んだ提言ア~ウによって答えが異なる問題。内容、出題形式ともに意欲的な問題だる。